まいど! in 大田区
光が去り暗闇となったホール。
一音目が耳に到達した瞬間、止まっていたあの時間が動き始めた。
2006年 4月20日 19:00開演
大田区民ホール アプリコ 大ホール
今年の一月に初めて聴きに行った綾戸智絵。
あの時の感動、心の震えを身体は忘れていなかった。
単に一時止まっていただけだったあの感覚が一瞬にして蘇り動き始めた。
シンプルな舞台。黒いピアノに向かい声を搾り出す綾戸。
一月のあの時から今この時までの時の経過が消し去られ、
あの時と今が一瞬にして繋ぎ合わされたかのように
ごくごく自然に続きが始まっていた。
あの時と同じように曲と曲の間にトークと爆笑が折り込まれる。
今日は前から3列目のちょうど真ん中。
真っ正面でステージ上の綾戸と、ほんの数メートルという好位置だった。
しばらくするとベーシストが現れ、綾戸と綾戸のピアノに加わった。
地味なベースの音が空気を静かだが力強く震わす。
身体全体でその心地よい振動を感じとった。
そしてパーカッションとギターも加わり、音に視覚に華やかさが増した。
様々に、しかし控えめに変わる照明の効果も加わり、
耳から目から肌から、身体に何かが染みこんでくる。
軽快でリズミカルなパーカッションの音。
そして繊細な音を奏でるギタリスト。
幸福に柔らかく包まれ、楽しいトークで会場は一体となる。
聴きに来ているというより、トークに引き込まれどんどん近づき、そして曲が始まる。
それが繰り返されて、遠巻きだった円がどんどん小さくなり、
皆が、綾戸が近付いてくるような感覚。
こうやって皆で音を楽しむ。
音を媒体にして何かが伝わり心が揺さぶられる。
「今」を皆で「生きているんだ」という事を言葉と音楽で意識させてくれた。
知らず知らずのうちにカラカラに乾いていた細胞一つ一つに、
水分が補給され心が潤っていった、あっという間の2時間だった。
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