あれは10年ほど前の冬だった。
会社の後輩と旭川へ出張へ出かけた事がある。
目的は現地の支店に設置されているオフィスコンピュータ(オフコン)の
システム入れ替え。
旭川近辺の旭川支店と空知支店を二人で担当した。
空知支店には以前秋に行った事があり、のどかな良い雰囲気で気に入っていた。
しかし、この時は真冬。真っ白い世界の中への出張。
空知へは旭川からさらに電車で行かなくてはならない。
事前に分担を決める時、
年下の彼が「僕が空知に行きますよ~」と言ってくれていた。
東京から空路で二人で旭川まで行き、空港からバスで旭川の駅へ。
後輩はそこから空知へ向かった。
土日の二日間かけシステム入れ替え。
他のメンバーも含め北海道西側半分の支店のシステムを同時に入れ替えた。
途中、オフコン間の通信テストもあり、お互いに電話でやりとり。
当時はまだケータイなんて一般的ではなかったので、
オフコンに接続されたモデム内蔵の電話機で電話し合ったっけ。
支店の規模によってオフコンのスペックも違い、
どうしても作業の進捗に差が出る。
遅い支店の担当に「おーい、まだかよ~」なんて
電話し合いながら入れ替え作業を進めていたっけ(笑)
二日間のシステム入れ替えを無事に終えた。
月曜日の本番初日を終え、昼間のオンライン、
夜のバッチ処理も終えて翌日帰途へ。
俺が宿泊していた旭川ターミナルホテルの前で
空知から戻ってくる彼と待ち合わせ、旭川空港へバスで向かった。
朝からかなり雪が降っていた。
雪で見通しが悪い道をバスは進み、空港へ到着。
空港の建物へ入ると、なんと「欠航」の案内が出ている。
おいおい、まじかよ~。二人で呆然とした。
バスに乗る前に教えて欲しかった。
結局、乗ってきたバスに再び乗り、駅へ逆戻り。
そこからJRの特急で千歳へ…。
後輩は身体がでかい。
そんな彼と窮屈な特急の座席に二人で座り、
駅売店で買った菓子を食べながら千歳へ。
結構乗っていた記憶がある。
やっと千歳へ着く時、彼が「これ奥さんにおみやげ!」「ちゃんと僕からですと言って下さいよ~」と買ったまま封を開けなかった「八分の五チップ」(ポテトチップス)をくれた。
その後しばらく我が家では、「八分の五チップの○○君」で通っていた。
1年半前に俺が異動するまで同じ職場で一緒に仕事した。
システムのサポート当番で休日の電話当番を彼がする事がある。
ネットワークを担当していた俺に休日に当番で出ている彼から時々電話が来る。
「おい、またお前かよ~」
「ぎゃははは、しょうがないじゃないですか~~」(笑)
こんな会話からいつも始まった。
でも、確率的に彼からの電話がかなり多かった。
仲良くしてくれていたから、ちょっとした事でも電話くれたというのもあったけど。
最近は埼スタでサッカー観戦していても、
彼からケータイに問い合わせのメールが来ることもあった。
最近はカメラの話もしていた。
デジタル一眼(EOS Kiss)を買ったらしく、交換レンズの相談を受けた。
メールや内線電話でなんどかやりとり、
何に使うのかはなかなか話してくれなかった。
先週彼の所へ行った時にやっと教えてくれた。
どうやらディズニーランドで子供とミッキーマウスのツーショットを
撮るためだったらしい。
なんとか撮れたようだったが、難しいですねーとブツブツぼやいていた。
そんな彼の訃報が今日届いた。
昨日の夜、脳内出血で急死したと。
先週金曜日に彼の近くの席の奴に用があって内線した時、
彼が出てくれて、「○○さん休みなんですよー。昨日調子悪そうだったでしょう~」と。
他人の事を心配していたあいつが、その二日後に…。
おい…。何でお前が。
確かに肥満で血圧が高いの気にしていたけど。
もう彼の席に行っても、あの熊のような後ろ姿を見ることは出来ない。
そして彼から電話が来ることもない。
なんでなんだよ…。
昨日の夕方、妙に明かりが灯っているものへレンズを向けたくなりシャッターを押していた。
あんな事、今までなかったのに。
合掌
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