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2007年2月12日 (月)

エキスペリエンツ7

久しぶりに500ページを超える、ぶ厚い小説を読みました。

エキスペリエンツ7 団塊の7人
堺屋 太一 (著)
単行本: 544ページ
出版社: 日本経済新聞社 (2005/7/16)

「団塊」の名づけ親である著者が団塊世代を主人公に描いた小説。

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早期退職を勧められていた銀行員、坂本龍生の元に、高校時代の同級生、木戸ここ路が突然訪れた。ここ路が経営するそば店のある「梅之園ハッピー通り」商店街が衰退のため消滅の危機に迫られていたのだ。

坂本は三十四年間銀行に勤めた経験を商店街再生に生かせないかと考える。坂本の呼びかけに応じて、建築家やイベントのプロ、元商社マン、NPO代表など、知識と経験溢れる七人の団塊たち(エキスペリエンツ)が立ち上がった。「高齢者が歩いて暮らせる街を造る」という同じ夢を求めて――。
 

日本中あちこちにありそうな、ごくごくありふれた商店街を舞台にとても夢があり、またちょっぴり野心も感じ、ワクワクしながら読み続けることができた。

世代はちょっと違うけど、自分たちの経験を生かしてなんとかこの商店街を再生させたいというボランティア精神に共感を覚え、そして集まってきた7人の奮闘振りにエールを送り続けた。

主人公坂本の自宅での様子や家族はほとんど出てこないが、こんなシーンがあった。

「あなた、そんな格好で居眠りしてないで、朝ご飯食べて、ちゃんと寝なさい」
妻の声で坂本は目を覚ました。パソコンの前に座ったままで居眠りをしていたのだ。
「うん、そうする。有り難う」
坂本はパソコンの電源を切って食卓の前に座った。
そこには厚めのハムエッグとバタートースト、野菜サラダ、トマトジュースが並んでいる。今日は土曜日、時刻は七時半、娘も息子もまだ寝ている。和代はいつもより早めに豪華な朝食を作ってくれたのだ。
「悪いな、稼ぎもしないでこんなの作らせて」
坂本は目を瞬きながらそういった。
「いいわよ、一生に一度ぐらい坂本龍馬を気取ってみるのも……」
和代はおかしそうにいった。どうやらパソコンを覗いたらしい。
「失敗したら、コンビニのレジで時給八〇〇円で働けばいいんだから、でも死なないでよ、龍馬になりすぎて」
「そうか、和代がそう言ってくれるか……」
坂本は大きく頷いてトーストを飲み込んだ。そして自分に言い聞かせるように呟いた。
「必ず島津を口説き落としてみせるぞ」

銀行を定年退職して、失業保険の給付期間も終わりが見えて来ている時期。
高校時代の同級生(異性)に相談され、家族にも話さず始めた商店街再生計画。

退職後、何をしていいるのかとも聞かず温かく見守る妻。
このやりとりで、夫としての主人公坂本がどのような人なのかが分かるような気がした。

ほどよく距離をおきながらも強い信頼関係を感じられる夫婦。
またそんな家庭があるから外で力を発揮することも出来るのだろう。

このシーンはとても微笑ましく、そして羨ましかった。
 

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